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ジャイアンツ最年長・鈴木尚広が語る「切り札の誇りとチーム愛」 (2ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その走塁技術の高さとともにトレーニングに対する豊富な知識、ケガを防ぐ入念な準備は、チームメイトも一目置く。さらに、現状の方法に満足することなく、常に新しいものを取り入れようとしている。

 今年のオフで言えば、東日本大震災の復興チャリティーイベントに参加するために渡った中国で太極拳を体験し、体幹の重要性を再認識した。また、週に何度か20キロの長距離走をこなし持久力アップに務め、中央大の陸上部の練習にも参加した。昨年もスピードスケートの金メダリスト・清水宏保氏に師事し、上半身と下半身の連動性などを学んだ。

 例を挙げればキリがない。ベテランになり、キャリアも十分積んでいるのに、他競技を含めてなぜ未知なものに挑戦するのか。

「いろいろな話を聞くことで、困ったときに(打開するための)引き出す材料を増やしていきたい。たくさん引き出しがある中で、そのときに合ったものを自分でチョイスする。あとは変化を恐れないことですね。『このままでいいや』ということではなくて、『新しいものがあるんじゃないか』と考える。もっともっと、先を行く自分をつくっていきたいと思います」

 新しいトレーニング法を取り入れることで、体のバランスを崩すかもしれない。プロスポーツの世界でトレーニング法が合わず、それがケガにつながったり、パフォーマンスの低下を招いたケースもある。だが、鈴木はそれを否定する。

「いろいろなトレーニングをやっても流されない自分が存在している。(新しいものを)疑うのではなく、素直な気持ちをもって一回受け入れて、『これは合わないな』というものを省いていけばいい」

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