西岡剛「今の心境はPL学園に行けなかった時に似ている」 (2ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「こういう運命だったんだと開き直ったり、自分を追い詰めたり......。でも、立ち止まったらダメだっていうのが、僕のどこかの細胞に残っていた。だから、トレーニングを続けられたんだと思います」

 吹っ切れたのは新年の1月1日。「何かスイッチが入った」という西岡は、前年の出来事を「野球の神様が与えてくれた試練」と思えるようになった。そして、今では「感謝しています」とまで口にする。

「なぜ感謝しているかと言えば、その試練が僕を本気にさせてくれたから。身近な人はみんな、『あのケガさえなければ』と言ってくれますけど、僕はそうじゃないと思う。あれは運命だったんです。20歳の時に(ロッテで)レギュラーを獲ってから、僕は安心感の中で野球をやっていた。オープン戦で打てなくても開幕に合わせればいい、という感じで。一生懸命やっていても、"つもり"でしかなかったんですよね。それが去年、ああいうケガをして、もう1回、自分自身と向き合うことができました」

 今年、キャンプ初日から若手に交じってハードな練習をする西岡を、マスコミは大きく報じた。しかし、周囲の目は関係ない。今キャンプのテーマは「挑戦」であり、「己に勝つ」こと。3月27日の開幕戦に合わせた調整が許されるのは、一部のレギュラー選手のみ。昨年、その座を上本博紀に奪われた西岡は、「オープン戦の初戦が開幕と思ってやっている」と話す。結果を出して、二塁のポジションを奪い返すためだ。

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