西岡剛「今の心境はPL学園に行けなかった時に似ている」 (5ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 今、西岡の事実上のライバルは上本に違いない。ただ、まずは己に勝つのが先。「挑戦」しているのは自分自身であり、結果的にチームから必要とされるかどうかも、自分次第と考えている。

「必要とされなかったとしても、それは自分がしたことやし、もちろん、必要としてもらえるようにするのも自分次第。自分に勝つことによって、それなりの結果が伴ってくるんじゃないかなと思うんです。今は挑戦中なので、上に行くのか下に行くのか、僕自身も全く分からない。でも、楽しみです」

 これが西岡の強さだろう。本人は「僕は弱い人間です」と言うが、弱い人間は逆境を楽しめたりしない。もちろん、「弱いからこそ立ち向かえる」というのも一理あるが、自分の弱さを受け入れられるのもまた、強さと言える。

 過去に何度か、思い通りにならない体験をした。先に記したPL学園のこともそうだし、第2回WBCで代表から漏れたときは、睡眠導入剤に頼らざるを得ないほど精神的なダメージを受けた。アメリカではケガもあり、結果を残せなかった。ただ、そのどれよりも、昨年が「一番しんどかった」と西岡は言う。それは「野球ができなかったから」にほかならない。

「『諦めるなら諦めろ』と、野球の神様に言われている気がしました。でも、僕は諦めないです、最後まで。ずっと挑戦していきたい」

 2015年シーズン、西岡剛が己に挑戦し続ける姿を、ファンはその目に焼き付けなければならない。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る