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【プロ野球】中日・大野雄大、球は荒れても気持ちはストレート (3ページ目)

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 生まれ育った京都が好きだと言った。

「家の近くにある伏見稲荷が遊び場でした。千本鳥居は夜がきれいなんですよ。高1の時やったかな……。大みそかに甘酒売りのバイトをやったことがあって、それが31日の夕方4時から29時間ぶっ通しで働かされるんです。一杯400円の甘酒を500杯売って、もらったお金が1万円。もう、一生やらんわ(笑)」

「ナイショですよ」と言って、彼女と初詣に行った話も聞かせてくれた。

「今年1年、ケガなく野球させてください」

 それだけを祈ってきたそうだ。

 ラーメンが好物の彼に連れて行ってもらった「新福菜館」というラーメン店。京都駅から歩いて5分ぐらいのところだろうか。跨線橋(こせんきょう)のたもと、油で床がツルツル滑る小さな店で、知らない人と相席で、肩ぶつけながらすすったラーメン。これが、ちょっとしょっぱくて、見かけほどくどくもなくて、抜群に美味かった。

 そのラーメンを大野は何も言わずに、ただ黙々と食べていた。プロに行ったら、なかなか来る機会もなくなるだろうから、食ってばかりいないでお愛想のひとつでも言ったらどうだ……。内心そう思ったが、ピッチング同様、彼らしくていいかもと思った。

 今年7月31日の巨人戦、澤村と投げ合って、7回途中までを3安打無失点に抑えて、今季2勝目を挙げた試合の後、こう言い放った。

「逆球は多かったけど、コントロールより力で抑えるのが自分のピッチングなんで」

 こういうところが心配なんだ。その「暴れるボール」を一生懸命受けてくれる人がいることを忘れていないか? 

 今季3勝目を挙げた広島戦だって、5回を投げて許したヒットは1本で、三振も7個奪ったかもしれないけど、唯一の失点は押し出し四球だ。

 ちょっと「オレ様」みたいなところがあるヤツだけど、決して悪いヤツじゃないんで……。谷繁さん、疲れる相手だとは思いますが、この不束者(ふつつかもの)を見捨てずに、どうかよろしくお願いいたします。

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