【プロ野球】中日・大野雄大、球は荒れても気持ちはストレート

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

昨シーズンはわずか1試合のみの登板だっただけに、今季に期する思いは強い昨シーズンはわずか1試合のみの登板だっただけに、今季に期する思いは強い安倍昌彦の投魂受けて~第26回 大野雄大(中日) 

 8月7日の広島戦、中日ドラゴンズの2年目左腕・大野雄大が今季3勝目を挙げた。

 来た、来た、やっと来た。
翌朝、スポーツ新聞の見出しには、「待望」を強調した見出しが躍っていた。

 大野が中日から1位指名を受けた「2010年ドラフト」は豊作だった。早稲田大の斎藤佑樹(現・日本ハム)や大石達也(現・西武)、中央大の澤村拓一(現・巨人)らが指名された年だ。

 斎藤もいろいろ言われているが、よくやっていると思うし、澤村はすでに巨人のローテーションの一角にのし上がり、他にも八戸大から楽天に入団した塩見貴洋や早稲田大から広島に入った福井優也も、立派に一軍の戦力として働いている。そんな好況だから、大野は「遅れてきた斎藤世代」などと言われてしまう。

 でも正直なところ、「よく2年目で出てきたな。たいしたものだ」と思っている。なぜなら大野は「ボールが投げられない体」でプロに入ってきたからだ。

 大野は佛教大4年の時に商売道具である左肩を痛めた。大学最後となる4年秋のリーグ戦で、彼は1球も投げられないまま学生野球を終えた。痛めた箇所は、厄介な場所だった。「半年かかる」「1年かかるかもしれない」「もう投げるのは無理だろう」といった悲観的なことばかり言われていた。

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