【MLB】ドミニカアカデミーで奮闘する元カープ右腕 球速147キロでは埋もれる世界でたどり着いたサイドスロー転向 (5ページ目)
昨年ドミニカに飛び込んだ当初は「怖い」と感じたが、話してみるとみんな人懐っこく、やさしいチームメイトばかりだった。会話は英語とスペイン語を片言で話すくらいだが、こっちの選手たちは誰に対しても「表裏」がなく、心からフレンドリーに接してくれる。ドミニカに来てよかったと、中村は心の底から感じている。
「腕の位置を下げるのは初めてですし、新しいことに取り組めています。いろいろ引き出しが増えたし、新しいことに挑戦することで上から投げていた頃とは違う感覚もある。これから野球をするうえでもプラスになると思います。
野球以外だと、みんなうるさいし、寮でも片付けないから汚いけど、そういうことにも慣れました。いつか日本に帰った時、ちょっとしんどいことでも乗り越えられると思います(笑)」
恵まれた環境ばかりではない。結果を残さなければ、いつクビになっても不思議ではない世界だ。
「キャンプ中に切られていなくなる選手もいっぱいいました。本当に1日1日が勝負。今日ダメで、明日切られることもあると思うので。そういう意味で、日本にいた頃と違って、いい意味で吹っ切れています。そこはいい方向に進んでいるのかなと思います」
今いるのは、MLBの一番下の世界だ。ここから、どこまで上がって行けるか。ドミニカで2シーズンを過ごし、たくましさを増した中村は上だけを見据えている。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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