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【MLB】ドミニカアカデミーで奮闘する元カープ右腕 球速147キロでは埋もれる世界でたどり着いたサイドスロー転向 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 それが昨年ドミニカに渡って以来、価値観が180度変わった。

「こっちの休みにやるのはストレッチくらいです。ドミニカでは『休め』と言われるので、誰も体を動かしていません。逆に動いていたら、『何してんだ?』という目で見られます。しっかり1日休むだけで、次の日の体の状態が全然違います。休むことも練習のひとつだと思いました」

 中村は広島時代、「回復が追いつかなかった」と振り返る。腰が痛くて投げられない時期もあったという。だが、昨年5月にドミニカに来て以来、コンディションが大きく改善された。

【肉体改造により成績が飛躍的に向上】

 一方、野球の練習は今季大きく変わった。昨年からコーチングスタッフが一新され、方針も見直されたからだ。

「今年はしっかりアップをして、キャッチボール、そのあとに的を狙うネットスローは球数制限されながらも、しっかりする。投内連携も時々あります。今年は実戦に近い練習がすごく多く、練習の質がすごく高いと思います」

 マーリンズはエウリー・ペレスやエドワード・カブレラを台頭させるなど、投手育成に長けた球団だ。中村はサマーリーグでリリーフ登板をしながら、投げる能力も磨いてきた。

「ブルペンには週1〜2回入り、投げるのは15球から多くても30球ほどです。1週間のなかでうまくバランスをとりながら調整しています。強度を高くした日は、翌日は少し抑えるといった具合です。重いプライオボールを投げる日もあれば、軽いボールを使う日もある。体への負担を考えてしっかり制限してもらっているので、ケガなく続けられています。最初はこのやり方に慣れませんでしたが、今ではこのくらいのほうが回復もスムーズで、次の登板に向けていいパフォーマンスを発揮できています」

 ドミニカのアカデミーは若手を養成する期間だ。いかにして上のカテゴリーに選手たちを送り込むか。極端に言えば、それができなければ球団にとって価値は生まれない。

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