【MLB】ドミニカアカデミーで奮闘する元カープ右腕 球速147キロでは埋もれる世界でたどり着いたサイドスロー転向 (4ページ目)
だからこそ、栄養面も充実している。食事は米とチキンや豚肉、豆という、いわゆるラテン系アメリカ人の好物が中心で、炭水化物とタンパク質を十分に摂取する。中村は「正直飽きている(苦笑)」と言うが、栄養補給も本業の一環と捉えている。
「大豆が苦手であまり摂れていませんが、サプリもプロテインもしっかり全部揃っています。それらをしっかり摂取すれば、体は大きくなっていますね。逆に日本では(球団の用意は)なかったので、プロテインは自分で買っていました。日本にいた時と、タンパク質を摂取する量は全然違うと思います」
そうして肉体的に鍛えられ、ドミニカ2年目の今季は成績が改善された。
2024年 11試合(12.2イニング)/防御率14.21/与四球14/奪三振9
2025年 12試合(18.2イニング)/防御率4.82/与四球12/奪三振17
今季開幕前、オーバースローからサイドスローに転向した中村来生 photo by Ryu Voelkelこの記事に関連する写真を見る
【サイドスローに転向した理由】
じつは、成績改善の大きな要因はもうひとつある。今季開幕前、オーバースローからサイドスローに変えたのだ。その裏には、アカデミーならではの事情がある。中村が説明する。
「こちらでは、10代で99〜100マイル(約159〜161キロ)を投げる選手がたくさんいます。22歳の僕が147キロ程度だと見劣りするので、コーチと相談して腕の位置を下げ、クセのある投げ方に取り組んでいます。求められているのは"1球でもえぐいボール"。それをつくっていきたいと思っています。まだ始めて2カ月ほどで完成度はまだまだですが、上から投げたほうが球速は出るものの、打者の反応を見ていると、今年のフォームのほうが打ちにくそうに感じます」
制球面も改善中だが、右打者にスライダーがうまく決まると、腰を引けたような反応を見せる。MLBの世界で上を目指すには、周囲とは異なる武器が不可欠だ。
「年齢的にも、来年はアメリカにいないといけないと思うので、悔いなくやるしかないですね。コーチ、スタッフの反応は悪くないと思うので、どんどんストライクゾーンに強い球を投げることができれば可能性はあると思います」
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