【MLB】大谷翔平が近づく「170得点」の歴史的価値 ドジャース一塁コーチが語る「1番打者としての凄み「メジャーの投手たちは、本当に怖がっている」 (3ページ目)
【「盗塁数が増えなくても、重要なのは"走れる"という存在であること」】
――ヘンダーソンですら、最多得点はシーズン146点(イチローのベストは127点)でした。大谷選手がベーブ・ルースの177得点に迫る可能性はあると思いますか?
CW「もし彼がシーズンを通してフルに出場し続けることができれば、170得点という数字も決して夢物語ではないと思います。もちろん、それを達成するには何より健康であることが前提です。実際、今シーズンここまでのところ、彼はほとんど毎日試合に出場しており、自己管理も非常にしっかりしています。
これまで唯一、"あれ?" と思ったのは、たった1日だけ。本来なら盗塁を狙いそうな場面で走らなかった日がありました。本人は特に何も言っていなかったのですが、その日の動きから、その日はどこかに違和感があるのかもしれないと感じました。でも、翌日には完全に元気に戻っていて、またいつものように積極的な走塁を見せてくれたので、大きな問題ではなかったようです。おそらくその日は、膝かどこかに少し張りや違和感があって、無理をしなかったのだと思います」
――大谷が170得点に到達するうえで、ほかに重要な要素があるとすれば、どのような点が挙げられますか?
CW「2番以降の打線がすばらしいことです。殿堂入り確実とされるMVP選手のムーキー・ベッツとフレディ・フリーマンがいて、その後ろにはテオスカー・ヘルナンデスやウィル・スミスのような、チャンスに強い強打者が控えています。翔平が出塁すれば、多くの場合、彼らがホームに返してくれる。だからこそ、翔平の出塁がチームにとって非常に価値のあるプレーになるのです。
しかも彼は長打をたくさん打ちます。二塁打が多いですし、三塁打も珍しくありません。ライト線に打球が飛んだときには、最初から三塁を狙って走っている。単打や四球で出塁した場合も、盗塁ができるので得点圏に進める。そうやってチームにとってのチャンスをさらに広げてくれています」
――盗塁はここまで11個ですが、昨年の59盗塁を再現するのは難しそうですね。
CW「でも、盗塁数が増えなくてもまったく問題ありません。重要なのは"走れる"という存在であること。翔平が一塁にいれば、相手投手は『盗塁されるかもしれない』という不安を常に抱くことになります。そのうえで、次の打者がムーキーのような強打者ですから、投手は走者である翔平と打者であるムーキーの両方に意識を向けなければいけない。
そうなると、精神的な負荷が非常に大きくなり、リズムが乱れて混乱する。翔平の存在が、相手バッテリーに与える影響は計り知れません」
――大谷選手は(一塁に出塁時)かなり大きくリードを取っていますね。
CW「そうなんです。(ロサンゼルス・)エンゼルス時代は十分なリードを取っていなかったのですが、今はしっかりと大きなリードを取るようになり、次の塁を狙う意識を明確に見せています。そのことで、相手投手のクイックモーションや牽制球のクセ、牽制の精度といった細かな部分がより見えやすくなる。そうした走塁面での意識の高さも、得点につながる重要な要素になっています」
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