「大谷翔平の打球音はショットガン」ドジャースタジアム場内アナウンサー、トッド・ライツが語る「SHOHEI OHTANI!」の衝撃 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【日本語のイントネーションで】

ドジャースファンを球場で盛り上げるライツさん(ポスターは大ファンのラソーダ元監督) photo by Okuda Hidekiドジャースファンを球場で盛り上げるライツさん(ポスターは大ファンのラソーダ元監督) photo by Okuda Hidekiこの記事に関連する写真を見る

――日本人選手の名前をアナウンスするときに、気をつけていることはありますか。

ライツ 私が学んだのは、日本語の発音はイントネーションが英語とは異なるということ。英語は変化に富み、強調したい部分にアクセントを置きます。例えば「大阪」は英語だと「サ」の部分を強めるが、日本語は平坦に発音します。「ショーヘイ・オータニ」も英語では「タ」の部分を強めるが、日本語発音は変化が少なくリズムが一定で、一部を強めたりはしません。

 だから、私は日本語の発音をトライしたいと考えました。アメリカではすでに「タ」を強めるのが普通になっていますが、私は日本人の友達とも相談して日本語流でいくことに決めたのです。アメリカの人からは、「なぜ、そんなイントネーションなんだ?」と不思議そうに聞かれますが、これが日本語のやり方なんだと説明しています。

 ヒスパニック系の選手についても同じ流儀を貫いています。「キケ・ヘルナンデス」ではなく、「キケ・エルナンデス」とアナウンスしている。選手の母親がするのと同じように発音したいと願っていて、そこは努力している部分です。

――2015年からドジャースタジアムのPAアナウンサーを務めていますが、最高の思い出は? 2020年に世界一に輝いたときでしょうか。

ライツ あのシーズンは新型コロナウイルスのパンデミックで、ワールドシリーズはテキサス州での開催だったので、ドジャースタジアムの担当である私は、参加できませんでした。

 一番の思い出は、2018年のボストン・レッドソックス相手のワールドシリーズ第3戦で、18イニングの試合を制したときです。マックス・マンシーがサヨナラ本塁打を打って、終わったのは午前1時半くらい。セブンイニングストレッチ(*2)を7回と14回の2度やって、2度「TAKE ME OUT TO THE BALL GAME」(私を野球場に連れていって)を歌いました。私はマイクの前に9時間、ぶっ通しで座っていなければなりませんでしたが、今となってはよい思い出です。2017年、カブスとのナ・リーグ優勝決定戦第2戦で、ジャスティン・ターナーがサヨナラ本塁打を打ったのも印象に残っています。

*2/直訳すれば、「7回の背伸び」。メジャーリーグでは、7回表の攻撃が終わると観客が立ち上がり、体をストレッチしながら「TAKE ME OUT TO THE BALL GAME」を歌う習慣がある。

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