山本由伸「オープン戦の成績はよくなかったけど...」 ドジャースの首脳陣は信頼「公式戦はいい方向に行くようにしたい」 (3ページ目)
セットポジションからのピッチングが課題だと指摘され、5回にはピッチクロック違反を取られてしまったが、それについても前向きにとらえていた。
「セットポジションについては、(ランナーを多く出したことによって)今日もその場面がたくさんあったので、ある意味よかったと思います。ピッチクロックについては、ちょっと球を長く持ちすぎましたね(笑)。でも、日に日によくなってきていると思います」
報道陣からは、自軍の攻撃の際にベンチ前でキャッチボールができないという環境の変化がピッチングに影響しているのではないかという質問が飛んだが、これに対しては「問題はない」ときっぱり答えた。
「4失点しているので、投球としては決してよくはないんですけど、感覚的にいいところもありましたし、しっかり練習して来週に備えたいですね。キャンプではすごく濃い練習ができたと思います。オープン戦の成績はよくなかったけど、そこはオープン戦なんで。公式戦では落ち着いて、いい方向に行くようにしたいですね」
山本の口からは、何度も「来週」という言葉、つまりソウルでの登板のことが出てきた。オープン戦の成績はともかく、チームからの信頼は揺るがないようだ。デーブ・ロバーツ監督からは、降板時に「しっかりソウルでの2戦目に備えてくれ」という指示があったという。
日本を離れて1カ月、再び太平洋を越える長時間のフライトに身を委ねることになったが、その移動でさえしっかり睡眠をとって、楽しみたいとポジティブな姿勢は崩さなかった。
オープン戦最後の結果を受けて、山本のピッチングに不安を抱く声がメディアでも行き交っている。しかし、「日本最強投手」の真髄を見せるのは本番だけでいい。
振り返れば、昨年の日本シリーズ。第1戦で炎上した山本だったが、阪神に王手をかけられて臨んだ第6戦は、圧巻のピッチングを披露した。修正力こそが、山本の真骨頂とも言えるのである。
あれから4カ月。ソウル・コチョクスカイドームでも「無双」のピッチングで、不安の声をかき消してくれるはずだ。
著者プロフィール
阿佐 智 (あさ・さとし)
これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。
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