大谷翔平の全試合を現地観戦する「ミニタニ」が振り返る、チーム残留までの緊張感とその後の「地獄絵図」 (3ページ目)
【大谷選手は孤軍奮闘も、プレーオフ進出の確率は0.1%に】
トレードのニュースが飛び交う中で、緊張と不安の日々が過ぎていった。トレード期限が間近に迫った7月26日から 、エンゼルスは強豪チームとの16連戦。その時点でチームは51勝49敗、貯金2。 わずかにワイルドカード争いへの望みはあるものの非常に厳しい状況だった。
しかし、その26日に球団から発表が。 大谷選手をトレード放出しないこと、9年ぶりのポストシーズン進出に集中することを決定。チームオーナー、アート・モレノ氏は「人生最大の賭け」に出たのだ。
大谷選手のチーム残留が決まった次の日、アウェーでのデトロイト・タイガースとのダブルヘッダー。敵地にも関わらず球場にはGMのペリー・ミナシアンの姿もあり、どこかダグアウトはざわついていた。
大谷選手は1試合目、二刀流での出場。スタジアムに姿を現し、いつもと変わらぬルーティンをこなし、爪を気にする仕草もあったがどこか安堵しているようにも見えた。その1試合目でメジャー初の完封勝利を飾ると、2試合目には2打席連続での37、38号本塁を放った。
「これが大谷翔平というプレーヤーなのか」
初めて大谷選手を見たという現地ファンは、興奮の面持ちで賞賛の声を漏らしていた。
大谷選手の残留とプレーオフ進出へと舵をきったエンゼルスは、若手有望株2選手をシカゴ・ホワイトソックスへとトレードし、次々と即戦力の選手たちを加入させていく。現地ファンからは喜びの声と期待感が湧き上がった。デトロイト、トロント、アトランタ......遠征にも関わらず多くの大谷選手ファンが球場へと駆けつけ、プレーオフ進出への希望も込めた眼差しを向けていた。
しかしその矢先、大谷選手は両足のふくらはぎや指のけいれんで、途中交代となった試合が投打で2試合。ただでさえ故障者の多いエンゼルスには緊張が走った。現地では休養を求める声も多い中で、大谷選手は「もう休める試合はひとつもない」と執念のコメントを残し、孤軍奮闘の活躍を魅せ続けていたが......。
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