ダルビッシュ賢太が語る兄・ダルビッシュ有の素顔「ずっと今の感じ。メディア嫌いになったので、世間に伝わってこなかっただけ」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Darvish Kenta

 子どもの頃は練習に行くのが嫌だ嫌だと言いながらも、結局、続けてきたから今がある。努力に努力を積み重ねて、もちろんプロ入りすぐの頃は才能も相まって結果を出せた部分もあったかもしれないけれど、そこからいろんな経験と失敗も経て、努力をしている姿っていうのは、僕はもうずっと見てきた。

 次から次へとチャレンジして、失敗してもそこから学び、腕のじん帯が切れた時も絶対にあきらめず、治療と向き合ったりというのを全部見てきている。だから、なんだろう......リスペクトしかないですよね、シンプルに。

 人間として見ても、本来、魅力的な人なんです。今回WBCの報道を通じて、ちょっと有の人間性みたいなものが見えたじゃないですか、チームメイトとよく話したり。世間的には『そんなイメージがなかった』とか言われてましたが、僕としては、もうめちゃくちゃ普通なんですよ。

 有はずっと後輩の面倒見がいいし、優しいし、自分の技術は惜しみなく出すし、野球大好きすぎて教えてほしがるし(笑)。あの地位にいるのに、すごく謙虚でいられる。そういう点でも、あんまりほかに見ないタイプの人物かなと思います」

── 具体的に、世間で思われている"ダルビッシュ有"のイメージと、賢太さんの知る兄の違いはどんなところでしょう?

「やっぱり今回のWBCでの、有の後輩やチームメイトへの対応ですよね。SNSとかでは『ダルビッシュ、めっちゃ変わったな』とか『めっちゃ成長してるな』とか言われてたけれど、僕としてはもう有は23〜24歳くらいから、ずっと今の感じなんですよ。彼がメディア嫌いになっちゃったので、あまり世間に伝わってこなかっただけで。

 あの頃の有って、今の大谷(翔平)くんみたいな感じだったんですよね。もう、あることないこと書かれて、ほんまにメディアが嫌いになった。有は、あまり美化されるのも嫌なんです。もう普通というか、そのままがいい人なんで。

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