ダルビッシュ賢太が語る兄・ダルビッシュ有の素顔「ずっと今の感じ。メディア嫌いになったので、世間に伝わってこなかっただけ」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Darvish Kenta

ダルビッシュ賢太インタビュー(後編)

◆ダルビッシュ賢太・前編>>がん闘病中「たぶん、俺、病気してよかったんです」

 ダルビッシュ賢太──。

 かつて俳優として活躍し、その後トレーナーに転身した彼は、「ダルビッシュ有の弟」であることに自覚的であり、その事実を全面的に受け入れつつ、これまでもTwitter等で情報発信をしてきた。

 その彼は現在、昨年発覚した精巣がんとの闘病生活を、包み隠さずSNSで発信している。

 今年3月上旬には、京セラドーム大阪で行なわれたWBCの日本代表強化試合を観戦に訪れ、兄・有と久々の対面も果たすことができた。

 抗がん剤治療のさなか、実現したこの観戦と兄との交流を、本人は「奇跡」だったと綴る。その言葉の背景とは? そして彼が語る「兄・ダルビッシュ有」の人物像とは?

 病院のベッドから応じてくれたリモートインタビューの後編をお届けする。

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トレーナー時代のダルビッシュ賢太トレーナー時代のダルビッシュ賢太この記事に関連する写真を見る── 賢太さんは3月上旬に京セラドームを訪れ、有さんにも会えたとTwitterでも明かしていました。有さんとは、どのような言葉を交わしたのでしょう?

「僕から言うことっていうのは、基本なくて。僕も退院と言ってもグロッキー状態で、そんなに元気じゃないんですよ。

 あの時は、有が『せっかく俺も(WBCの試合で)大阪に行くんやし、病院に行ったら賢太の顔くらい見れるの?』って言ってくれたんですけれど、彼も日本代表としてチームのスケジュールで動くんでね。僕も面接できる時間は家族のみで、それも1日2時間くらいしかないんです。だから最初はスケジュールが合わなく無理やったんですよ。

 なんですけどね......そこは不幸中の幸いで。僕、血管が細くて点滴の針がなかなか刺さらないんです。強化試合があった日は、抗がん剤治療は一旦終わって『流し』と言われる、要はスポーツドリンクのような浸透性のある液体を身体に入れるプロセスの時だったんですね。

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