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ダルビッシュ賢太が語る兄・ダルビッシュ有の素顔「ずっと今の感じ。メディア嫌いになったので、世間に伝わってこなかっただけ」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Darvish Kenta

 そのための針がなかなか血管に刺さらず、何度も何度もやり直していたら、主治医の先生が部屋に入ってきて、『賢太君、スポーツドリンクみたいな液体を2リットルくらい飲めるんやったら、点滴いらないよ。今日退院してもいいよ』って言ってくれたんです。

 そこで先生に『今日の夜に大阪でWBCの強化試合があるんです。兄が個室を用意してくれるので、移動の導線も確保できるし、ほかの人と触れずに済むみたいです。無理だったらいいんですが、もしかしたら行けますか?』と聞いたら『だったらええよ』と言ってくれて。それで本当に、たまたま行けるようになったんですよ。

 でもその日は、朝、昼と身体がしんどくて。試合は18時からですが、16時に起きた時はしんどくて『無理かな』と思ったし、母にもそう伝えたんです。でも、もう一度寝て17時くらいに起きた時にはちょっと元気になって。『18時に来られる?』と聞かれたので、思いきって行って有の顔を見たら、やっぱ元気出てきて。

 結局、1時間か2時間くらいおったかな。有と会って『大丈夫?』『まあまあ大丈夫よ』なんて話をして。『今こういう事情で、こういう副作用があって今日も来たけど、しんどいからもう1時間くらいしたら帰るわ』って言ったら、有はとなりの部屋も取っていてくれたみたいで、『こっちの部屋も使うようにね』って言ってくれて。有ができることは、全部やってくれたと思うんです......ねえ、やっぱり兄弟なんでね。

 その有が、今回WBCに参加する意義とかね、MLBシーズンへの調整がメインのなかで出ることの意味を僕も感じていたので、余計に顔を見られてしゃべると、元気が出ましたよね」

── 賢太さんは、ご自身を『世界一のダルビッシュ有のファン』とおっしゃっていました。でも、過去には嫉妬などはなかったのでしょうか?

「僕は思春期の頃から、兄への嫉妬なんてまったくなかったですね。シンプルに、嫉妬するに及ばない人物なので。

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