【高校野球】沖縄尚学・末吉良丞、苦悩の先に見えた復活のシナリオ「甲子園という場所でポテンシャルを引き出してもらった」 (3ページ目)
しかし、1対0とリードして迎えた8回裏に落とし穴が待っていた。2失策と四球で満塁のピンチを招くと、帝京の5番打者・蔦原悠太に内角のストレートを左中間に運ばれる。逆転を許した末吉は降板し、さらに拙守も重なってこの回4失点。沖縄尚学は9回表に2点を返したものの、3対4とあと一歩及ばず。昨夏に最後まで甲子園で戦ったチームが、今春は最初に甲子園を去ることになった。
大会前にインフルエンザに罹患したこともあり、試合後には末吉のコンディションを慮る質問も出た。だが、末吉は毅然とした口調で、「これが今の自分の力量です」と答えた。
それでも、聞かずにはいられなかった。「落ちるところまで落ちた」という時期を思えば、希望を持てる一面もあったのではないか。そう問うと、末吉は淡々とした口調で答えた。
「自分のなかでは、『現在地』には戻れたような気がします。甲子園という場所で、ポテンシャルを引き出してもらいました。あとは自分がどう練習できるかだと思います」
今後の進路はプロ一本。それでも、末吉は「夏まではチームのことだけに集中したい」と決然と語った。
稀代のサウスポーを蘇らせたのは、甲子園の魔力だったのだろうか。
いや、甲子園はきっと、さらに進化した末吉良丞の姿を待っているはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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