【高校野球】「時代に合わせた改革は必要でも、変えてはいけないものがある」 大阪桐蔭・西谷監督が示す使命感 (4ページ目)
<危機管理の面から最悪なのは「何も対策を講じない」ということ。何もせず、大会に関わる選手、役員、審判、応援する生徒、観客のなかから重大事故が発生した場合、誰がどのような責任を負うのかを肝に銘じるべき>
故障や事故をゼロにすることはできない。だからこそ最善の努力は必要だが、ゼロを追い求め過ぎれば、野球そのものが変わってしまう。
この日、西谷が口にした言葉の多くは、初練習時にマスコミの前で語ったもの、あるいはその延長にあるものだったが、抑えきれない思い、子どもたちへの思いはダイレクトに伝わってきた。
議論に関わる方たちは、大人の都合や事情ではなく、常に「子どもたちはどうか」という視点で判断してほしいと思う。そうすれば、高校野球の進むべき道が見えてくるのではないか。
「僕らが声を上げたからといって、『じゃあ、あらためます』とはならないでしょうけど、『7回制になりました』というのは、あまりに無責任。高野連には、もう一度立ち止まり、ほかに方法がないか考えてほしい。感情論でも根性論でもありません。高校野球を守り、子どもたちが思いきり野球に打ち込める環境を残したい。ただ、それだけなんです」
ふと、西谷やイチローといった生粋の野球小僧と、高野連や主催する朝日新聞や毎日新聞の代表者が顔をそろえて語り合う場があれば、何かが変わるのではないかと、頭に浮かんだ。逆に言えば、それほどの出来事がなければ、この傾いた流れを止めるのは難しい段階まで来ているのだろう。
子どもたちに胸を張って説明できるだけの議論と結論が導かれることを信じたい。
文中敬称略
著者プロフィール
谷上史朗 (たにがみ・しろう)
1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。
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