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【高校野球】「時代に合わせた改革は必要でも、変えてはいけないものがある」 大阪桐蔭・西谷監督が示す使命感

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

大阪桐蔭・西谷浩一監督が語る「7回制断固反対」の理由(後編)

 9回制を7回制に変更すれば、おそらく簡単には元に戻せないだろう。一方で、開催球場は状況に応じて変更することも、再び戻すことも可能だ。にもかかわらず、「甲子園以外」での開催を本気で検討した経緯は見えてこない。先の報告書を読めば、その理由ははっきりしていた。

<全国高等学校野球選手権大会および選抜高等学校野球大会は、1924(大正13)年8月の甲子園球場開場以来、100年以上にわたって同球場を会場としてきた。甲子園は「聖地」とも呼ばれ、高校野球そのものを指す代名詞にもなっているのみならず、他の文化的活動、イベントなどでも「〇〇甲子園」といった呼称が広く浸透している。歴史的、社会的な見地から、今後も甲子園球場において両大会を開催することが望ましい>

 7イニングの変更となれば、これまでの戦いの記録も多くは「参考」となり継続性が途切れる。そうした重大事は問題とせず、聖地であるから甲子園は替えられない、と。ほかにも、甲子園でなければならない大人の事情があるのかもしれないが、甲子園以外での開催の可能性を本気で検討しているように見えない姿勢からも、回制移行には結論ありきの意思を感じてしまう。

昨年9月に滋賀で開催された国民スポーツ大会は7回制で実施された photo by Sankei Visual昨年9月に滋賀で開催された国民スポーツ大会は7回制で実施された photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【何のためのアンケートか?】

 大阪桐蔭・西谷浩一監督との雑談のなかで、あるスカウトが言った。

「高野連だけで抱え込まず、プロや中学、大学、社会人といった関係者の意見も幅広く聞きながら、野球界全体で考えていけばいいと思うんですけどね」

 ここから話題は、高野連が実施した7回制に関するアンケートへと移った。調査は2つ行なわれており、ひとつは高野連加盟校を対象としたもの、もうひとつは高野連のウェブサイトを通じて一般から意見を募ったものだ。

 結果は、加盟校アンケートが賛成20.8%、反対70.1%、一般向けアンケートは賛成768、反対7923と、いずれも反対が多数を占めた。

 しかし報告書では、この結果について「速やかにすべての公式戦で7イニング制を採用すべきではあるが、現下の状況では、その意図や有効性が加盟校や高校野球ファンに十分伝わっているとは言い難い」と触れるにとどまっている。これでは、何のためのアンケートだったのかと思わずにはいられない。ここで、西谷の口調はさらに鋭さを増した。

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著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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