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「あきらめないで続ければ、輝ける時が絶対来る」マリナーズ2A で2025年を終えた24歳・大山盛一郎が挑戦のなかで得たものとは (3ページ目)

  • 山脇明子●取材・文 text by Yamawaki Akiko

【どう転がっても後悔ないようにしたい】

 大山は、波乱の1年を振り返る。

「挫折するようなことがいっぱいあって、思うようにいかないことが多かったけど、逆にそれも含めて考え方が変わった。困難があればあるほど後から振り返った時に面白いストーリーになる。そう考えるようになり、プロセスを楽しめるようになりました。あきらめないで続けていれば、人それぞれタイミングは違えど、みんな輝ける時が絶対来ると思っています。失敗も含めてこれらの経験は財産ですから。だから何をするにしても、5年後に後悔しない選択をしたと思いたい。そのために全力を尽くしたいし、自分にできることは全部やりたい」

 沖縄・興南高校で迎えた3年生の時、それまでの努力が実ってレギュラーとなり、背番号5をつけて甲子園の地を踏んだ。しかし沖縄大会の準決勝前日あたりから肘が思うように動かなくなり、以降不出場のまま最後の夏を終えている。大学からの勧誘もなく、大学のセレクションを受けようと思ったら、すでに終わっていた。

 それでも野球をやめようとは思わなかった。そんななか、たまたま足を運んだショッピングモールの本屋で、立ち読みした雑誌に掲載されていたアメリカ留学の広告を見て、「これだ!」と思い、すぐに調べて短大留学を決め、そして現在に至る。

 アメリカに来た当初は、英語もわからなかったが、そんなことはお構いなしに自ら進んでチームメイトらとつるんだ。それで英会話力が上達した。

 その行動力が大山にチャンスをもたらし、挫折を経験しても努力し続ける力を育ませた。そしてそれが、精神的な強さにつながった。

 大山の「面白い」人生は、これからどんな展開を見せていくのだろうか?

「最後はメジャーに行くのがもちろん自分のゴールです。でも、どう転がっても後悔ないようにしたいなと思っています」

 新たな1ページはNPBドラフトではなく、マリナーズのスプリングトレーニングキャンプに設定されている。

著者プロフィール

  • 山脇明子

    山脇明子 (やまわき・あきこ)

    大阪府出身。ロサンゼルス在住。同志社女子大在学時に同志社大野球部マネージャーと関西学生野球連盟委員を兼任。卒業後はフリーアナウンサーとしてABCラジオ『甲子園ハイライト』メインキャスター、サッカーのレポーターなどを務める。渡米後は、フリーランスライターとしてNBA、メジャーリーグ、アメリカ学生スポーツを中心に取材。

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