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【ドラフト】「投げられるならどこの国でも」から「やっぱりNPBへ」 シャピロ・マシュー一郎が急成長 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 その点について触れると、マシューは富山入団後のエピソードを教えてくれた。

「最初はクイックで投げていたんです。大学では『失敗したらダメだ』という思いが強すぎて。でも、富山に来て上原(茂行)監督から『そんなんでいいんか?』と言ってもらえて。独立リーグは失敗しても、次につながればいいという場所。そこを逆手に取って、結果よりも『今日はどこが通用したか?』と考えながらやっています」

 日本ハム戦では、「高めのストレートは通用した」という手応えがあった。リーグ戦(9月3日現在)では12試合に登板し、4勝0敗、23イニングで防御率1.96という成績を残している。課題の制球力も徐々にまとまってきた。

 マシューは充実した表情で、実戦を経験できるメリットを語った。

「大学の時、野手陣がコーチから言われていたんです。『練習の1000スイングより、試合の1球のほうが身になる』って。それはピッチャーも同じで、試合で積み重ねていかないと先はないなと。独立リーグでどんどん試合に出してもらって、成長できたほうが、のちのちにつながる。独立リーグに来てから、そこが変わったと感じます」

【NPBでプレーしたい】

 10月23日のドラフト会議も近づいてきた。年齢的に焦りを覚えても不思議ではない。しかし、マシューに過度な力みはない。

「ドラフトはあまり意識していません。指名されたいのはやまやまですけど、意識すると崩しちゃうので。自分が成長して、第三者の方に認められるピッチングを続けていれば、勝手に選ばれるものだと考えています」

 1年前、マシューは「投げられるなら、どこの国にでも飛んでいく」と語っていた。日本国内に留まらず、韓国、台湾、アメリカ、メキシコ、ベネズエラ......と選択肢をズラリと並べていた。

 今も、その思いに変わりはないのか。最後にそう尋ねると、マシューはかぶりを振って、こう答えた。

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