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宇野昌磨が引き立てる本田真凜の"美しさ" 『Ice Brave2』で進化するふたりのダンス「これからどんどんよくなる」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

宇野昌磨アイスショー『Ice Brave2』京都公演・現地レポート後編

『Ice Brave2』京都公演でアイスダンスを披露した宇野昌磨と本田真凜 Photo: Toru Yaguchi ©Ice Brave Executive Committee All rights reserved.『Ice Brave2』京都公演でアイスダンスを披露した宇野昌磨と本田真凜 Photo: Toru Yaguchi ©Ice Brave Executive Committee All rights reserved.この記事に関連する写真を見る

【本田真凜とのアイスダンスはレベルアップ】

「ポーズをお願いします!」「目線をこちらに!」

 取材エリアに集ったカメラマンたちからのリクエストに、看板を背にした彼は文句も言わずに従った。「OKポーズよりも、ピースのほうが『Ice Brave2』だからいいんじゃない?」と言われると、「たしかに」と素直にピースサインでほほ笑む。おどけたファインティングポーズで、練習中のバックフリップ成功を誓う。彼の性格がにじみ出た和やかな囲み取材だった。

 宇野昌磨は、日本男子シングル史上初の世界選手権連覇に成功している。全日本選手権も優勝6回、準優勝4回と常に主役のひとりだった。記録にも、記憶にも残るスケーターと言える。

 その宇野が昨年5月で現役引退を発表後、プロスケーターに転向した。そしてプロデューサーとしてアイスショー『Ice Brave』を開演。公演のたび、人気は高まった。そして続編公演が決定し今回、『Ice Brave2』が京都で再び幕を開けた。

 挑戦の象徴のひとつとして語られるのは、本田真凜とのアイスダンスだろう。本田と宇野のアイスダンスは、公演後半の目玉になっている。それぞれ、体力的にも厳しい。そこで表現者の真価が問われるわけだが......。

 11月1日、『Ice Brave2』の初日公演で、ふたりは会心の答えを示した。『Wild Side』の曲に合わせて、スピードを落とさず、近い距離で滑る。それは決して簡単なことではない。

 ひとつの基準になるツイズルも、見事に調和していた。また、ダンススピンは溶け合うようだった。そしてリフトは前回よりも難易度が上がっており、高い位置でライトに照らされた本田は美しかった。つまり、パートナーを引き立てた宇野の勝利でもあるだろう。

「今に満足せず、もっといろいろ挑戦したいという気持ちでした」

 宇野はそう言って、ダンスを振り返った。

「前回よりも一段階レベルの上がったものをお客さんにお見せしたくて。リフトはぎこちない部分もあったかもしれませんけど、お客さんが反応する声を聞いた時、驚いているのを間近で感じられたので満足しています!」

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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