【夏の甲子園2025】3年生のドラフト候補が限られるなか、スカウトが挙げた9人の逸材 「出力のレベルが違う」と大絶賛されたのは? (4ページ目)
前チームからチームの主軸を担う神村学園・今岡拓夢 photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る 投手としての評価はこうだ。
「低めのストレートの質はいいと思います。それがあるから、チェンジアップで空振りが取れる。ただ、スライダーとかの曲がり球があまり上手じゃないんですよね。腕の振りが鈍いし、下半身のキレももうひとつ。それが今後どうなるか」(セ・リーグスカウトD氏)
チェンジアップ以外の変化球の精度が、今後の課題になる。準々決勝敗退後、本人は今永昇太(カブス)の名前を挙げて投手希望を口にしたが、はたしてどこまでレベルアップできるか今後の行方を見守りたい。
このほかの野手では、神村学園のショート・今岡拓夢には「サイズがあるし(180センチ、80キロ)、右打ちの打てる内野手というのは魅力」(セ・リーグスカウトB氏)、京都国際のサード・清水詩太には「右打ちの大型内野手(180センチ、78キロ)。ミート力が高く、木製バットにも対応している」(セ・リーグスカウトD氏)、豊橋中央の捕手・松井蓮太朗には「技術的にはまだまだだけど、体が強い。プロの練習に耐えられるだけの体があるのが魅力。プロで鍛えたい」(パ・リーグスカウトC氏)という声が聞かれたが、人材不足は否めなかった。
選抜王者の横浜を破った県岐阜商の快進撃など甲子園は盛り上がったが、ドラフト的視点から見ると例年よりも明らかに対象選手が少なく、スカウトの表情も曇っていた。
ただ、今大会は2年生で目立った選手が多かっただけに、来年はドラフト的視点からも盛り上がる大会になることを期待したい。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
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