【夏の甲子園2025】横浜が見せた誇りと粘り、県岐阜商と織りなした珠玉の2時間42分 名勝負はいかにして生まれたのか
珠玉の好ゲーム。そう言っていい。
今年春の選抜を制し、優勝候補筆頭だった横浜がタイブレークの末に県岐阜商に敗れ、春夏連覇の夢は絶たれた。
16安打と6安打──安打数では県岐阜商が圧倒した。それでも試合は接戦となり、ここにこの勝負の面白さが詰まっていた。普通なら互角の勝負にはなり得なかったはずだが、そこには選抜覇者・横浜の隠れた強さがあった。
選抜王者の横浜をタイブレークの末に下した県岐阜商ナイン photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る
【序盤から県岐阜商が主導権を握る】
試合を振り返る。
1回裏、県岐阜商は1番・駒瀬陽尊がライト前ヒットで出塁し、一死後、3番・内山元太がレフトへ二塁打を放ち、幸先よく1点を先制した。4回には二死から下位打線の3連打で1点を追加すると、5回にも稲熊桜史、内山、坂口路歩の3連打で2点を加えるなど、県岐阜商優位の展開が続いた。
とにかく県岐阜商の打者たちのスイングは鋭く、横浜投手陣の球を確実に捉えた。先発の織田翔希を早々と攻略すると、4回には山脇悠陽、5回には早くもエース・奥村頼人を引っ張り出した。
「低めのボールは手を出さないとか、浮いたところを狙うとか、各打者のやることが徹底されていました。集中力も高くて、そこがすごかった」
横浜の捕手・駒橋優貴はそう言って、県岐阜商打線の徹底力に舌を巻いた。狙い球の絞り方から追い込まれてからの粘りなど、質の高い打撃をしていたのだ。
しかし6回表に潮目が変わる。県岐阜商は好投していた先発左腕の渡辺大雅に代わって、プランどおりエースの柴田蒼亮を投入。だが、柴田の制球が定まらない。一死から為永皓のライト前ヒットのあと、3番・阿部葉太、4番・奥村頼人の連続死球で満塁となった。
ここで5番・小野舜友はセカンドゴロ。打った瞬間、併殺になるかと思われたが、一塁への送球がわずかに逸れて一塁はセーフ。この時、三塁走者だけでなく二塁走者も生還して2点。さらに6番・池田聖摩がセンターにタイムリーを放ち1点差とした。
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著者プロフィール
氏原英明 (うじはら・ひであき)
1977年生まれ。大学を卒業後に地方新聞社勤務を経て2003年に独立。高校野球からプロ野球メジャーリーグまでを取材。取材した選手の成長を追い、日本の育成について考察。著書に『甲子園という病』(新潮新書)『アスリートたちの限界突破』(青志社)がある。音声アプリVoicyのパーソナリティ(https://voicy.jp/channel/2266/657968)をつとめ、パ・リーグ応援マガジン『PLジャーナル限界突パ』(https://www7.targma.jp/genkaitoppa/)を発行している




























