【夏の甲子園2025】横浜が見せた誇りと粘り、県岐阜商と織りなした珠玉の2時間42分 名勝負はいかにして生まれたのか (2ページ目)
相手のミスに乗じての3点ではあったが、今大会の横浜はこういう場面が多い。2回戦の綾羽戦では無死一、二塁からの送りバントを相手守備の悪送球の間に2人が生還。3回戦の津田学園戦では、為永のレフト前ヒットを相手守備が後逸する間に長躯ホームインというシーンもあった。
一見、相手がミスをしてラッキーが続いていたかのようにも思えるが、必ず横浜の好走塁が絡んでいるのだ。横浜と戦うとプレッシャーからミスが出てしまうようだが、そのなかでのソツのなさが横浜の強さであり、県岐阜商との試合でも接戦に持ち込んだ理由である。
【絶体絶命で横浜が見せた2つのビッグプレー】
そして8回、県岐阜商の守備の乱れで横浜が同点に追いついた。一気に横浜の流れになるかと思われたが、そうはならなかった。それは県岐阜商の打線の勢いが止まらなかったからだ。県岐阜商がチャンスをつくり、横浜が耐える。そんな展開が続いた。
そんななか、9回裏にビッグプレーが生まれた。
県岐阜商は、先頭の渡邉璃海がショートへの強襲ヒットで出塁。つづく柴田は送りバントを試みるが、横浜守備陣の厳しいプレッシャーにあってスリーバント失敗(記録は三振)。つづく1番・駒瀬も一塁ゴロを放つが、ここで横浜の一塁手・小野が二塁へ悪送球。一死二、三塁とサヨナラのチャンスをつくった。
窮地に立たされた横浜は、ここでベンチが動く。外野手を1人減らし、内野5人シフトを敷いたのだ。横浜の村田浩明監督が言う。
「これは練習でもやってきたことでした。バッターに引っ張る力がないと思って、レフトを削って、右側に守備を寄せました」
これが功を奏する。2番・稲熊桜史がスクイズを試みるも、小野が見事なグラブトスを見せて本塁封殺。つづく打者が死球となりピンチが続いたが、ここでもビッグプレーが生まれた。
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