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【夏の甲子園2025】昨年秋とは別人! 金足農相手に14奪三振の衝撃 沖縄尚学の左腕・末吉良丞に何が起きた?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 人間は「第一印象」に引きずられやすい。ポジティブな印象ならまだいいが、ネガティブな印象だと、のちのちまで尾を引くケースがある。ドラフト候補を追いかけるプロスカウトからも、よく聞く話だ。

 しかし、なかには別人のように進化して、驚かされることもある。今夏に沖縄尚学(沖縄)の2年生左腕・末吉良丞(すえよし・りょうすけ)を見た時、それを思い知らされた。

金足農から14三振を奪った沖縄尚学・末吉良丞 photo by Ohtomo Yoshiyuki金足農から14三振を奪った沖縄尚学・末吉良丞 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る

【3安打14奪三振で金足農を完封】

 8月6日、甲子園1回戦・金足農(秋田)戦を迎えた末吉は、インパクト十分の投球を見せる。9回を投げ抜き、被安打3、奪三振14、与四死球0の完封勝利。金足農の投手陣も好投したため、1対0とクロスゲームにはなった。だが、この日の末吉なら何イニング投げても、高校生が得点を奪うのは難しいのではないか。そう思わせるような、圧巻の内容だった。

 試合後、末吉はテレビ中継社のインタビューに、こんな感想を語っている。

「春はピッチャーが点を取られすぎて負けて、悔しい思いでいたので。夏は完封勝利ができてうれしいです」

 今春のセンバツに出場した末吉は、1回戦で青森山田(青森)から3失点、2回戦で横浜(神奈川)から5失点を喫している。とはいえ、青森山田戦は昨夏の甲子園ベスト4を経験した強打者が複数残るなかでの完投勝利。横浜戦はリリーフとして最低限の仕事をし、チームとしては7対8と今春王者を最後まで苦しめた。

 今春のセンバツで末吉を見た時点で、筆者は「昨秋より、ずっとよくなっているな」と感じていた。

 筆者が初めて末吉を取材したのは、昨秋の明治神宮大会。当時、「沖縄に1年秋の時点で最速150キロを投げた左腕がいる」と聞いて、胸が躍った。しかし、実際に末吉の投球を見て、肩透かしにあった気分になった。

 球速は常時130キロ台。特別な長所を感じる球質でもない。当時の末吉から「最速150キロ」をイメージすることは、とてもできなかった。

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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