【夏の甲子園2025】昨年秋とは別人! 金足農相手に14奪三振の衝撃 沖縄尚学の左腕・末吉良丞に何が起きた? (3ページ目)
今の末吉は間違いなく、今年のドラフト会議でも上位指名されるレベルだろう。だが、昨秋の末吉の姿は、いったいなんだったのか。コンディションが悪かったのか、神宮球場のマウンドが合わなかったのか。
末吉に聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「秋はバランスのいいフォームで投げられなくて、スピードが出ませんでした。比嘉先生からは『腕だけで投げている』と言われて、そこから『下から上へ』と体を使う意識になりました。だんだんバランスのいいフォームになってきたと思います」
【覚醒の陰に新女房役の存在】
また、末吉の快投を支えた要因のひとつに、バッテリーを組む宜野座恵夢(ぎのざ・えいむ)の存在を挙げないわけにはいかない。
宜野座は今春のセンバツまでは右翼手として出場し、沖縄に帰ってから捕手に転向している。宜野座が正捕手になって以降、末吉の投球はグレードアップしたと比嘉監督は証言する。
「最初は正捕手でミスが目立った山川(大雅/2年)にお灸を据える意味で、宜野座に替えたんです。でも、宜野座はピッチャーの引き出し方を自然に覚えていきました。宜野座は左右だけではなく、高低を使って配球できます。末吉の一番いいボールは、右バッターへのシュートハイ。この球が140キロ台で決まったら、高校生で打ち返すのは難しいですよ。末吉には『このボールを武器にせい』と言っています」
宜野座は中学まで捕手を本職としており、「久しぶりにキャッチャーができるのが楽しみでした」と明かす。遠投110メートルの強肩でもあり、今春の沖縄でのチャレンジマッチでは、機動力があるエナジックスポーツの盗塁を2回も防いでいる。比嘉監督は「今夏の沖縄大会決勝では、エナジックは1回も走ってきませんでした。末吉も安心して投げられているはずですよ」と語る。
ストレートの進化に、長所を引き出してくれる女房役の出現。末吉は今や難攻不落の投手になりつつある。
3 / 4