沖縄高校野球の2強を追う創部10年目のKBCはプロも輩出1学年の部員数約20人にこだわる理由は? (4ページ目)
母体が専門学校ならではのカラーを生かし、かつ部活動に多くの時間を割けるような環境を整え、KBCには毎年約20人の野球部員が入学している。2022年のドラフト会議では外野手の大城元が巨人に育成7位で指名され、2人目のプロ野球選手が誕生した。
2020年夏、コロナ禍の独自大会で決勝に駒を進めた。甲子園のかかる舞台ではなかったが、確実に一歩ずつ進んでいる確信が、神山監督にはある。
そうして昨夏、KBCは3度目の沖縄ベスト4に進出。だが、沖縄に"新風"を吹かせている感覚はないという。
「ベスト4の顔ぶれを見たら新しい学校が入っているけど、それでも夏の甲子園に行っているのは興南、沖縄尚学です。今の立場で言うと、まだ変化は起こせていない。跳ね返されている感じがします」
興南や沖縄尚学には、長い時間をかけて積み重ねてきた伝統がある。対して、KBCはまだ10年にすぎない。ベスト4には届くようになったが、その一歩を越えるために必要なものを神山監督は模索中だ。
「その一歩が次の夏になるために今、練習しています」
全国で台頭する多くの新鋭校にとって、難しいのが"あと一歩"だ。KBCが目指す場所に届いた時、ようやく世間の偏見は薄まり、新しい常識を広げられるかもしれない。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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