沖縄高校野球の2強を追う創部10年目のKBCはプロも輩出1学年の部員数約20人にこだわる理由は? (2ページ目)
【野球をやりながら資格も取得】
現在、創部から10年目。約200人の全校生徒のうち60人が野球部員だ。寮はなく、沖縄県内の中学生にしか声はかけていないが、昨夏ベスト4に進出したこともあって県外から「来たい」と興味を示す中学生も増えているという。
石原が言うようにKBCの大きな魅力は、野球に多くの時間を費やせることだろう。那覇市にある学校で午前中に授業を受け、糸満市の南浜公園多目的広場にある球場にバスで30分弱かけて移動し、14時から19時まで全体練習を行なうのが基本的な流れだ。
糸満市近郊の部員はそのまま帰宅できるので、居残り練習をする者もいる。那覇市近郊の部員は全体練習後にバスで戻り、学校の施設でトレーニングをして帰ることも可能だ。
新型コロナウイルスの猛威が世界を包んだ2020年、神山監督は父の昂(現・総監督)からチームを引き継いだ。その際に部の方針として再確認したことがある。
「卒業後は結局、野球をしていない人生のほうが長くなります。だったら好きな野球もしっかりできるけど、勉強や資格もしっかり取ろう。授業態度が悪かったら試合も出られないし、練習もできない。当たり前のことをしっかりやろう、というところからスタートしました」
KBCにやって来る多くの部員は、決して勉強が得意ではない。それでも高校に野球部を設ける以上、学業に励むのは不可欠だ。では、何を学ぶべきか。
「普通の勉強だけなら、どこの学校に行っても一緒です。国語、数学、理科、社会も学ぶけど、KBCに来たらこれができるよっていうので資格を取れるコースを設けています」
パソコン検定や表計算(Excel)、文書作成(Word)を授業で学び、希望者は英検や漢検、日商簿記を取得する。先述した沖縄電力の石山はKBCでパソコン検定3級を取得し、現在の職場で生きているという。
商業科の教員でもある神山監督は、"文武両道"の定義から見つめ直した。そうして4、5年前に立ち上げたのが、公務員特進クラスだ。
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