【夏の甲子園】健大高崎を支える通算本塁打2ケタの控え選手たち 野球エリートが直面した過酷な現実 (5ページ目)
岸野、白石の話を聞くなかで、「日本一のチームのユニフォームを着るということは、こういうことなのか......」という実感が湧いてきた。
上には上がいる。そんな厳しい現実に打ちのめされても、彼らは気持ちを切り替えて「自分に何ができるか」を模索して2ケタの背番号を手にした。それは背番号をつけられなかった者たちの思いまで背負うことを意味した。
白石は最後にこんな思いを口にしている。
「群馬大会は2試合がタイブレークにもつれ込んで、いつ心が折れてもおかしくない試合ばかりでした。でも、そんな時にスタンドのみんなが声を出している姿、手を叩いている姿を見て『負けちゃいけない』と力になりました」
健大高崎が強い理由。もちろん、個々の能力が高いこともひとつの要因だろう。だが、それだけでは勝てないことを"最強の2ケタ番号たち"は知っている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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