1日10時間猛勉強で横浜国立大へ進学して代表候補に 藤澤涼介が体現する大学野球の多様性 (2ページ目)
横浜国立大理工学部に現役合格したあと、藤澤は念願の環境でステップアップを重ねる。とくに打撃面で大きく進化した。
「打撃理論の知識がある先輩に教えてもらったり、自分で考えたりしながらフォームをつくっていきました」
BLAST(ブラスト)という計測機器を使い、打撃技術向上に生かした。藤澤がとくに重視しているのは「オンプレーン効率」という指標である。
「ボールの軌道のラインに対して、スイングがどれだけ乗っているかを示す指標です。自分は平均93パーセントくらいで、悪い時は85パーセントくらいに落ちるので自分の状態を測るバロメーターにしています」
ボールの軌道に対して100パーセント近くスイング軌道を合わせられれば、ボールをとらえる確率は必然的に上がっていく。藤澤は「正確性に関しては自分の一番の持ち味だと思います」と語る。
【これがジャパンのクリーンアップか...】
藤澤は横浜国立大の中心選手になり、2年春のリーグ戦では3本塁打を放ちフレッシュマン賞を受賞。3年生になると「野球をより頑張ろう」と塾講師のアルバイトをやめ、野球に取り組んだ。3年秋のシーズンでは打率.311、2本塁打、13打点と活躍。チームも勝ち点3を獲得し、一時は優勝争いを演じる大健闘だった。
だが、今秋は藤澤にとって苦い記憶が刻まれたシーズンでもあった。終盤に迎えた桐蔭横浜大との大一番、藤澤は桐蔭横浜大のエース左腕・古謝樹(楽天ドラフト1位)の前に3打席3三振を喫した。チームも0対12(7回コールド)で大敗している。
「ここまで通用しないのか......と実力不足を感じました。もはや落ち込めないくらい、手も足も出ませんでした。古謝さんのストレートを意識していたところ、徹底的に変化球で攻められて全然打てませんでした」
そして、藤澤はぽつりとこう続けた。
「また対戦したいです。するなら、プロに行かないといけないですけど」
すでに企業チームの練習に参加するなど、藤澤は進路を考え始めている。そして今回の強化合宿は、藤澤にとって進路を考えるうえで大きな試金石になるはずだった。
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