甲子園出場を逃した13人の逸材 世代ナンバーワンの大阪桐蔭・前田悠伍も決勝で涙 (4ページ目)
京都翔英のスラッガー・小笠原蒼この記事に関連する写真を見る 今夏の甲子園は佐々木と真鍋だけでなく「一塁手のスラッガー」が数多く出場する。その並びに加わってほしかったのが、小笠原蒼(おがさわら・そう/京都翔英)と明瀬諒介(みょうせ・りょうすけ/鹿児島城西)の左右両門である。
小笠原は泰然とした構え姿が印象的で、柔らかく運ぶようなスイングができる左打者。今夏は京都大会決勝まで進出し、高校通算29号をライトスタンドに放り込んだ。チームは6対7で立命館宇治にサヨナラ負けし、甲子園へあと一歩及ばなかった。今年のドラフト戦線に佐々木、真鍋、佐倉と「右投左打の一塁手」がひしめくなか、プロスカウトからどんな評価を受けるのか気になるところだ。
明瀬は高校通算52本塁打を放った右の大砲で、投手としても最速152キロを計測する馬力が魅力だ。バットの芯でとらえればどこまでも飛ばせる長打力がある反面、コンタクト能力に課題を残す。今夏の鹿児島大会は0本塁打に終わり、準決勝で鹿屋中央に1対5で敗れた。とはいえ、右投右打の明瀬の希少価値は評価されそうだ。
甲子園に出場しようとしまいと、卒業後には横一線になる。プロには晩成型の選手も多く、今春のWBC日本代表メンバーの半数は高校時代に甲子園を経験していないのだ。
今夏の甲子園に不出場だった逸材たちが、これからどんな野球人生を歩むのか。希望をふくらませながら見守っていこう。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
フォトギャラリーを見る
4 / 4