甲子園出場を逃した13人の逸材 世代ナンバーワンの大阪桐蔭・前田悠伍も決勝で涙 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki,Sankei Visual

 平井は今夏に最速151キロをマークし、株を上げた。大型投手でも投球フォームにぎこちなさはなく、その日の体調に応じて最適な腕の振りを見つけられる繊細さもある。今夏は山梨大会準決勝でセンバツ王者の山梨学院戦に先発し、6回4失点。チームは延長10回タイブレークの末に勝利する番狂わせを演じた。だが、この試合で右手指のマメを潰した平井は、決勝戦で先発を回避。東海大甲府に2対6で敗れている。

 今夏にプロスカウト陣の評価を高めた投手といえば、河内康介(聖カタリナ学園)がいる。身長180センチ、体重72キロの長身痩躯で、抜群のリリース感覚から放たれたストレートは最速150キロをマーク。強烈なバックスピンのかかった好球質で、今夏は愛媛大会ベスト4に進出した。

今春のセンバツで準優勝を果たした報徳学園・堀柊那今春のセンバツで準優勝を果たした報徳学園・堀柊那この記事に関連する写真を見る

【今後も続く世代最強捕手争い】

 捕手では、今春のセンバツで輝いた堀柊那(ほり・しゅうな/報徳学園)鈴木叶(すずき・きょう/常葉大菊川)が地方大会で涙をのんだ。

 堀は強肩ばかりがクローズアップされるものの、捕手として守備全般がハイレベル。余計な力みのない構え姿、ストライクゾーンいっぱいでも巧みに捕球できるキャッチング。投手が安心して投げられる要素が揃い、今春センバツは3投手をリードして準優勝に導いている。打撃面で非力さが目立っていたが、今夏の兵庫大会では本塁打を放つなど復調気配があった。5回戦で強敵・神戸国際大付に2対3で敗れたものの、堀個人としては評価を高めた夏と言えそうだ。

 鈴木はセンバツで初戦敗退したが、二盗を阻止する猛烈なスローイングでインパクトを残した。4月のU−18代表強化合宿では堀を凌ぐパフォーマンスを披露。とくにパンチ力抜群の打撃力は高校生捕手としてトップクラスだろう。今夏は指の故障で出遅れ、準々決勝の東海大静岡翔陽戦は6番・捕手で出場。3打数0安打に終わり、チームも3対5で逆転負けを喫した。堀との世代最強捕手争いは今後も続いていくだろう。

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