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控え野球部員の晴れ舞台「ラストゲーム」が持つ2つの意味 山梨学院は春夏連覇へ一丸 (2ページ目)

  • 元永知宏●文・写真 text & photo by Motonaga Tomohiro

 もうひとつは、チームとして『みんなで頑張ってきた』という連帯感を再認識する貴重な機会だということ。確実に、チームの強化につながります」

 山梨学院に入学後、ショートのポジションを獲得したキャプテンの進藤天(しんどう・てん)は言う。

「僕は下級生の頃から試合に出させてもらいました。本当にいい先輩ばかりで、このラストゲームではみなさんを送り出すさびしさを味わってきました」

【引退試合に出場した主将の思い】

 5月に腰の手術を行なった進藤は1カ月のブランクを経て、夏の山梨大会に向けて急ピッチで調整を続けている。この日は、試合勘を取り戻すためにショートで出場した。

「あまり一緒に戦うことがなかった同期のBチームメンバーと試合ができて、いい思い出になりました。あらためて、みんなに対して感謝の気持ちが湧いてきました。一丸となって、甲子園を目指します」

 ずっと山梨学院のショートを守り続けてきた進藤にとって、戦列から離れるのは初めてのことだった。その間の進藤について、吉田監督は言う。

「進藤は、ここにきて人間的に一番成長したんじゃないかと思います。受け止め方が変わりました。本当に謙虚になりました。一度、戦列を離れたことで、チームの強いところと弱いところがわかったはず。とくにキャプテンとして、弱いところを客観的に見られたことが大きかったんじゃないでしょうか。腰の手術をしたことが、文字どおり"ケガの功名"になるかもしれませんね。6月になって、野手陣がひと伸び、ふた伸びしました」

 進藤の堅実な守備、勝負強いバッティング(センバツ6試合で打率.524、6打点)は、山梨学院には絶対に欠かせないものだ。進藤は言う。

「暑さ対策など不安な部分がありますが、もうそんなことも言っていられません。暑さに耐えて、仲間と一緒にまた甲子園に行きたい。腰の手術のあとは野球をしたくてもできなくて苦しかったんですけど、その期間に応援する立場の人たちの気持ちがよくわかりました。試合に出られるようになったら、みんなのために頑張ろうと思います」

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