イチローとコンビを組んだ名手も認める能力。ドラフト候補・今泉颯太の評価が爆上がり中 (2ページ目)
だが、今泉はその力を実戦で思うように発揮できずにいる。大学4年春までの東京六大学リーグ通算成績は、50試合の出場で打率.244、5本塁打と飛び抜けたものはない。同リーグには上田希由翔(明治大)、廣瀬隆太(慶應義塾大)とドラフト上位候補に挙がる看板打者がいるものの、彼らと比べて今泉の実績は物足りなく映る。
守備、走塁も際立った武器はなく、ともするとドラフト候補としては「平均点」と見られてしまう。今泉自身はどう感じているのかを聞いてみた。
「たしかにどれもずば抜けているわけではないですからね。長打力があって、ミート力もある程度あって、ショートをそつなくこなせて、肩と足はまあまあ。全部スタンダードに見られてしまうのかなと」
しかし、今泉はこう続けた。
「逆に言えばマイナスはどこもないので、その点を評価していただけたらうれしいですね」
【社会人相手に1試合3発の離れ業】
今泉のなかで「一番の持ち味」と自信を持っているのは、やはり打撃である。
その豊かなポテンシャルは、時折とてつもない「爆発力」となって発露している。たとえば高校時代、今泉は高校2年の12月に愛知県選抜に選ばれて台湾遠征を経験している。
同年の愛知県選抜は多士済々。東邦の石川昂弥(現・中日)、愛産大三河の上田(現・明治大)、愛工大名電の堀内祐我(現・明治大)、栄徳の西村進之介(現・専修大)、星城の石黒佑弥(現・JR西日本)ら有望選手がひしめいていた。
そんななか、大爆発したのは今泉だった。4試合で打率は5割を超え、本塁打はなんと5本を数えた。しかも、使用したのは木製バットだった。
「(中京大中京の)高橋(源一郎)監督からは『なんで金属バットでは打てないんだよ』とよく言われました。自分でもバットのしなりを使える分、木のバットのほうが得意な感覚はありました」
法政大進学後も、こんなことがあった。大学3年秋前に日本通運とのオープン戦が組まれた。この試合で今泉は3打席連続ホームランの離れ業をやってのける。
「1打席目はライトに、2打席目はライナーで右中間に。3打席目はレフトスタンド後方のネットを越える、大学に入って一番完璧なホームランでした。4打席目は左中間に飛んで、『いったかな?』と思ったんですけど、フェンス直撃でした」
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