全日本大学選手権で存在感を示した好投手3人 ポテンシャルは一級品、ドラフトで上位指名も... (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 日本体育大戦でも、村田の持ち味はいかんなく発揮された。球審のストライクゾーンが狭いと感じると、「いつもよりゾーンの出し入れを丁寧にしよう」と順応。左の強打者が多い打線に対して外角のツーシームやシンカーを使い分け、巧みに打たせてとった。

 派手な投球スタイルではない分、結果で語るしかない。「大学日本一」の勲章を手にできれば、自身の存在価値を証明できるのではないか? そう尋ねると、村田はこう答えた。

「昨年から勝ち続けてきましたけど、これを継続していかないと意味がないので。気を抜かずにやっていきたいです」

 その4日後、青山学院大との決勝戦で先発登板した村田は、立ち上がりからつかまる。3回1/3を4失点と打ち込まれてノックアウトされ、チームも0対4で敗れた。大会MVPに輝いたのは、決勝戦で完封勝利を収めた青山学院大の常廣羽也斗。絵に描いたような本格派右腕のドラフト候補である。村田にとっては屈辱的な敗戦だったに違いない。

 とはいえ、シーズンは秋もある。この敗戦をバネに村田がどのような進化を見せるのか。己の価値を証明する戦いは続いていく。

【無料トークイベント情報 7月6日(木) 紀伊國屋書店・新宿本店】

菊地高弘×西尾典文 「2023年夏、プロ注目の高校球児は誰だ?」

夏の甲子園を目指す高校野球の地方大会がいよいよ開幕! 今年はどんな戦いが繰り広げられ、プロ野球のスカウトは、どの選手に注目しているのか? 『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』で福岡ソフトバンクホークス大野稼頭央(2022年ドラフト4位)ら離島の球児たちの奮闘を描いた菊地高弘氏と、「スカイA」ドラフト会議中継の解説者としておなじみの西尾典文氏をゲストに迎え、ディープな高校野球トークを展開していただきます。

60分ほどのトークのあと、質疑応答と菊地高弘さんのサイン会を予定しております。サイン会にご参加希望のお客様は当店にて対象書籍『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』(菊地高弘 / 集英社 / 税込1,760円)をご購入ください。イベント当日は会場でも販売いたします。 皆様のご参加をお待ち申しあげております。

【日時】2023年7月6日(木) 18:10開場 / 18:30開演

【会場】紀伊國屋書店新宿本店 3階アカデミック・ラウンジ

参加方法など詳細はこちらへ>>

  菊地高弘(きくち・たかひろ)/1982年生まれ。東京都出身。専門誌「野球小僧」「野球太郎」の編集者を経て独立。独自の切り口と取材力に定評があり、近著『離島熱球スタジアム 鹿児島県立大島高校の奇跡』(集英社)では離島の球児たちを鮮烈に描いた。「菊地選手」名義でリリースした『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット。他に『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)、『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)など著書多数。

  西尾典文(にしお・のりふみ)/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析を研究。専門知識を生かした分析力を武器に高校野球、大学野球、社会人野球からプロ野球まで幅広く精力的に取材し、野球専門誌、スポーツナビ、BASEBALL KING、AERA dot. などのWebメディアに寄稿する。全国各地のアマチュア球界を網羅した情報力は他の追随を許さず、CSテレビ「スカイA」のドラフト中継番組の解説者として欠かせない存在となっている。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る