「1回負けたら終わり」では選手は育たない 高校野球のリーグ戦「リーガ・アグレシーバ」の存在意義と可能性 (5ページ目)
「高野連の理事として野球人口を増やしていきたいですが、公立で人数の少ないチームが秋、春、夏の公式戦でいずれも1回負けて終わりになると、『野球部に入ろう』と思いにくいですよね。リーガに興味を持ってくれているチームはたくさんあります。やってみることで新しい発見がたくさんあったので、賛同していただける学校にはどんどん声をかけていきたいです」(西田部長)
2022年まで高校野球の硬式部員数が8年続けて減少するなか、現場の関係者は一様に危機感を膨らませている。
対して、2015年に大阪で6校から始まったリーガ・アグレシーバは、2023年現在には21都道府県の約130校が参加するまでになった。まだ小さな動きだが、慶応や立命館宇治など甲子園出場経験のある私学や、旭高校のような公立が手を取り合い、その輪は確実に広がっている。
甲子園を狙える強豪校だけではなく、高校野球に関わる全員が成長し、満足できるにはどういう形式に変化させていけばいいのか。注目すべきは、サステイナブルな取り組みが自発的に広がっていることだ。
現場の意志がどこまで届くか、注視していきたい。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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