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島を出た「奄美の神童」と島に残った「大野稼頭央」の数奇な野球人生 「甲子園で、島のみんなと戦いたかった」 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro,Ohtomo Yoshiyuki

「プロに行くなら、ひとつでも自信のあるものがないといけないと思います。今のところ大学ではやれと言われたら投手も野手も両方やるつもりですし、人の2倍練習しないといけません。大学は自分の時間も持てるので、有効に使っていきたいです」

 奄美大島を出てよかったか。そう尋ねると、求は神妙な表情でこう答えた。

「もちろんいい経験をさせてもらっているんですけど、親に何も返せていないので。自分が島を出たことで父さんと母さんは別々に暮らす我慢をさせていますし、まだ恩返しができていませんから」

 夏休みの帰省によって、求は故郷のすばらしさを再確認したという。満面の笑みを浮かべながら、求は奄美大島について語った。

「やっぱり、ここは自分が帰る場所だなと思いました。みんなすごく温かく迎えてくれて、ホッとしました。落ち着いたら、いずれ島で暮らしたいです。でも、いいところすぎてなまけちゃいそうなので、今はほどほどに帰省するようにします」

 奄美大島の神童は今も故郷への愛を胸に、勝負の世界へと身を投じている。

菊地高弘氏新刊紹介

『離島熱球スタジアム』 鹿児島県立大島高校の奇跡

 【タイトル】『離島熱球スタジアム』 鹿児島県立大島高校の奇跡
【著者名】菊地高弘
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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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