原石の宝庫・青森大からまたドラフト候補。驚異の身体能力を誇る名原典彦はプロにたどり着けるか (2ページ目)
瀬戸内高校時代は甲子園出場経験もある青森大・名原典彦この記事に関連する写真を見る「蝦名も体ができてから、急激に足が速くなりました。『足の速さは生まれ持ったもの』なんて聞きますけど、そんなことはないですよ」
三浦監督はそう言って笑った。そして今年、青森大に新たなドラフト候補が現れた。
東都の強豪大を受けるも不合格
名原典彦(なばら・のりひこ)。身長182センチ、体重82キロ、右投げ右打ちの外野手である。名原の特徴は、何と言っても類まれな快足にある。
「ダッシュの形や足の接地時間をいかに短くできるかを意識したら、高校時代より足が速くなりました」
高校時代は手動計測で6秒2だった50メートル走のタイムが、大学での電子計測で5秒9に縮まった。
今秋の北東北大学リーグでは、優勝のかかった富士大との大一番で名原の快足がチームに勢いをもたらした。富士大の絶対的エースであり、ドラフト上位候補に挙がる金村尚真の一瞬のスキを突いて二盗に成功。名原の盗塁を突破口に青森大は2得点を挙げ、エースの内山透吾の粘投と堅い守備で守りきる。5季ぶり37回目の優勝を飾った。
名原にとっては、会心の盗塁だった。
「金村のクセがわかっていたわけじゃないんですけど、バントの構えをしたバッターを見た金村が、こっちに重きを置いてない雰囲気を感じました。『牽制はこないから走れそうだな』と思ったタイミングで三浦監督から盗塁のサインが出たので、自信を持ってスタートを切れました」
広島・瀬戸内では3年春のセンバツで甲子園の土を踏んでいる。だが、当時注目されていたのは中国地区随一の強打者だった門叶直己(上武大)。失礼ながら、筆者は高校時代の名原の印象がまったくなかった。そのことを詫びると、名原は「印象に残らない選手だったと自分でも思いますから」と笑った。
東都大学リーグの強豪のセレクションを受けたが、あえなく不合格。行き場をなくしかけたところで、青森大との縁がつながった。名原は「自分がここまでこられたのは、青森大だったから」と胸を張る。
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