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元ヤクルト近藤一樹がプロ入りを目指す教え子・近藤壱来をあえて放置した理由 (2ページ目)

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

一樹 去年オフ、チームに残ることが決まっていたのでずっと香川にいたんです。なので、11月から選手たちとずっとキャンプをしていたような感じでした(笑)。このリーグはオフに指導者が教えてもOKなので。そのなかで、今年はイチに限らず、2年目の選手たちには「まず自分で動きなさい」という形で始めました。

壱来 いざ自分でやるとなった時に、自分の弱さを痛感しました。去年まではコーチにべったりで、「どうですか」「こうですか」と言われたことだけをやっているだけだったんだと。今年もほぼ1年投げてきましたけど、よかったと思ったら、また悪くなったりの繰り返しで......。 1年目は教えてもらっていたからできていただけなんだと。

一樹 今年は1年目の選手に重点を置いているけど、別にイチやほかの選手たちを放り投げたとかじゃないんだよ。去年一緒に過ごした選手は、僕のやろうとしている流れを知っているし、何をすればいいのかを提供した。本当に困っている時は手を差し伸べるけど、みんなプロフェッショナルなわけだから。ひとりマウンドで戦う時に、強いメンタルであったり、視野を広げることがその先につながっていく。そのために放置しているというか(笑)。

弱点を見せないこともピッチング

 取材前日の試合で負け投手となった壱来だが、試合中、思うようにいかない自分に向かって、たびたび吠えていた。

一樹 ことわざにも「弱い犬ほどよく......」とありますからね。

壱来 結局、5回までイライラしてしまって、6回に入る前にコーチに助けを求めて......。「あー、やっぱり自分はまだまだ弱いピッチャーなんだ」と。

一樹 そこはわかっているんだ(笑)。

壱来 今年は焦っていることもあって、とくにそれを感じています。

一樹 どの選手にも話しているのですが、まずは自分の性格を早く知りなさいと。イチの場合、イライラしない方法を見つけて、試合前から余裕を持てるくらいに準備をしておきなさいと。

壱来 それは理解しているのですが、むちゃくちゃせっかちなんで。

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