ふたりの「コンドウ・カズキ」がドラフトに向け語り合う。NPBには何が必要なのか (3ページ目)

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

壱来 去年、コーチは「オレはNPBをクビになった」と言っていましたけど、実際にピッチングを見ると、「この球でもダメなのか」と思いましたし、このコーチを超えないとドラフトにはかからないのかなと......。

一樹 去年は、僕のボールはある意味でNPBの見本だと思っていましたが、今は僕を超える必要があるかは疑問です。伸びしろがあれば、今の僕を超える必要はないんですよね。イチには伸びしろがまだまだあると思っているから、それをアピールできればいい。今日よりも明日はもっとよくなっているみたいな。そうなれば「投げれば投げるだけよくなるから、コイツは育つんじゃないか」と、チョイスしてくれる球団があるかもしれない。

あえて選手たちの鼻を折る

 近藤壱来は取材前日の試合(愛媛マンダリンパイレーツ戦)で、8回を投げて10三振を奪うも3失点で敗戦投手となっていた。近藤コーチは「真っすぐでの三振が少ないことが課題であり、伸びしろです」と話した。

壱来 コーチの言うとおりです。真っすぐの空振りが少ないですし、変化球で三振をとることが多いのですが、ストライクゾーンで空振りがとれていない。それができないから、昨日の試合みたいに相手に突き詰められて負けてしまう。今年はああいう試合が多いんです。

一樹 ここのリーグは打者のレベルがものすごく高いわけではないので、いい変化球を持っていれば成績は残せるんです。イチは今年、球速は上がったわけだけど、そのボールで空振りがとれるかどうか。真っすぐを待っていたのに打てなかった、ボールだと思って見逃したらストライクだった。そういうボールを投げてもらいたいですね。そこが今のイチに足りないところですが、伸びしろと表現していいと思います。

壱来 去年は自分ができることが少ないこともあって、たとえばアウトローに投げ込むとか、そのことしか考えてなかったんです。今年は球速が上がって、自分の感情のなかというか、ムキになってしまうことが多かった。できることが増えたわけではないのに、やりたいことを増やしてしまった。そういうことだから「球がバラつくんだよ」とコーチには言われています。

一樹 自分のハードルを高くするのはいいことだけど、厳しい言い方をするとみんな自己満足なんですよ。1日よかっただけで鼻が伸びてしまう。すぐに「これでいいんだ」と横着する。なので、あえて選手たちの鼻を折る作業は常にしています(笑)。大事なのは、すごくよかった日を続けることなんで。NPBを目指すなら、言葉のニュアンスは難しいのですが、僕は彼らの鼻を折ってあげないといけないと思っています。

後編へつづく>>

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