父・渡辺俊介と同じサブマリンの東大野球部・向輝。参考にするのは牧田和久と中川颯で「父の投げ方はやりづらい」
文武両道の裏側 第12回
渡辺向輝(東京大学) 後編
球界を代表するアンダースロー投手として活躍した渡辺俊介さん(元千葉ロッテマリーンズ、現・日本製鉄かずさマジック監督)を父に持ち、自身も下手投げのピッチャーとして東京大学野球部でプレーしている渡辺向輝(こうき)投手にインタビュー。前編では幼少期から高校時代の文武両道について語ってもらったが、後編では受験勉強や東大野球部での目標などについて聞いた。
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化学は1点、E判定から猛勉強
ーー高校最後の大会を終えたあと、野球から勉強への切り替えはうまくいきましたか?
渡辺向輝(以下、同) 切り替えのきっかけとなったのは、模試の結果だったのかもしれません。最後の試合に負けたあとに受けた模試の結果がものすごく悪くて、東京大学はE判定でした。しかも、F判定に近いギリギリのE判定で、本当に大変な成績でした(笑)。化学の点数は1点で。その結果がきっかけで一気に勉強をやり出しました。
ーー切り替えとは、具体的にはどんな行動を?
まずスマートフォンを手放して、あと夏の甲子園も見ちゃっていたんですけど、見たら野球のことを引きずっちゃうなと思って見ないようにして。勉強はとにかく基礎からやり直しました。高校1年の範囲くらいから全部です。
ーーその成果が実感できるようになってきたのは、いつくらいからになりますか?
秋の東大模試ですね。10月の終わり頃で、B判定が出ました。
ーー約3ヶ月で、そんなに成績を上げたんですね。
一気に上がったその期間で力を入れてやっていたのが問題演習でした。部活をやっていた頃、通学の電車などで教科書をひたすら読むのを毎日繰り返していたので、その知識を使って、今までやって来なかった問題演習をひたすら解きました。
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