大阪桐蔭はなぜ強く、プロ野球選手が生まれるのか。OBで元阪神・岩田稔が明かす「指導法、練習環境、食事法...」 (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Nikkan sports

 成長できる環境づくりは西谷監督が意識的に取り組んでいることで、岩田の頃から整えられていた。

「西谷先生の大学の先輩や、日本生命でやっていた人が来てくれて、『こんな練習をしているよ』『こういう気持ちでやっているよ』と会話のなかで各々が感じとれるようにアドバイスをしてくれました。考えてみたら今、プロ野球に行ったOBが自主トレで帰ってくるのと一緒のことですよね。生徒にとってはすごくいい。それも西谷先生の人脈ですね」

 大阪桐蔭の選手たちはなぜ、上の世界で次々と活躍できるのか。その一因として、高校入学時から卒業後を見据えていることが挙げられる。岩田は身をもって体感したひとりだ。

「西谷先生は高校だけではなく、大学から先で選手が活躍できるように考えている人です。本当にすごいとしか言いようがないですね」

 岩田は腰の故障で高校3年夏の大会では投げられず、1型糖尿病を理由に内定先の社会人チームから約束を取り消された。その悔しさをバネに、関西大学に進んで努力したことが阪神で長く活躍できた裏にある。

 その礎になったのが、大阪桐蔭で学んだ「あきらめない気持ち」だった。

後編に続く>>

一部敬称略

プロフィール
岩田稔(いわた・みのる)/1983年10月31日、大阪府生まれ。大阪桐蔭高から関西大を経て大学・社会人ドラフトの希望枠で2006年に阪神に入団。3年目の2008年に10勝を挙げ先発ローテーションに定着。巧みな投球術で打者を翻弄し、2009年にはWBC日本代表メンバーに選ばれ、世界一に輝いた。

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