2022.07.09

古田敦也の言葉に救われた元ヤクルト内田和也。プロでの成長に「全国制覇のプライド」は邪魔だった

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

立正大立正高・内田和也監督インタビュー(後編)

前編:「内田和也のタイミングポイント」はこちら>>

2001年のドラフトでヤクルトから4巡目指名を受けて入団した内田和也(右から3人目)2001年のドラフトでヤクルトから4巡目指名を受けて入団した内田和也(右から3人目) この記事に関連する写真を見る

飛ばないバット導入は賛成

── 内田監督の現役時代と比較して、現在の高校野球のレベルは上がっていると思いますか。

「確実に言えることは、強いチームとそうでないチームの二極化が進んでいることです。選手については、投手のスピードは目に見えて上がっていますが、それ以外の技術はそこまで上がっていないと思います。今度"飛ばないバット"に規格が変わることは歓迎です。これまでは筋トレをして、重いバットを強く振って飛ばす傾向がありましたが、規格が変わるとしっかりインサイドアウトの打ち方にしないと飛ばせないと思います。だから、打者を強化していくのか、それとも守備強化にトレンドが変わっていくのか注目しています」

── プロで教わったセオリーや考え方で、印象に残っていることは何ですか。

「プロのセオリーというわけではないのですが、ヤクルト時代に古田敦也さんがミーティングで語った古代ギリシャの哲学者・ソクラテスの"無知の知"の話は強く印象に残っています。要するに、『自分に知識がないことに気づいた者は、気づかない者より賢い』という意味なのですが、それまでの私は『甲子園で全国制覇した選手』という看板がプライドやプレッシャーになっていました。以来、肩の荷がおりて『わからないことは恥ずかしいことじゃない。何でも聞いて、挑戦しよう』と考え方が変わりました。プロでは活躍できませんでしたが、あの時に変われたことが今につながっていると思います」

── 高校生を指導していて、何か感じることはありますか。

「秋の関東大会とか、夏の地方大会とか、大会だけを追ってもダメだと思うんです。以前、2018年に春夏連続甲子園出場を果たした中央学院高校(千葉)の相馬幸樹監督に"新入部員向けバンドブック"というものを見せていただきました。それは甲子園出場から逆算され、目標が明確に記されていました。その内容は日常生活であり、練習であり、細かく多岐にわたっている。つまり、先のことをイメージさせることで、しっかり準備ができて、どんな状況になっても慌てない。選手には、どんなことでもいいから目標を持ってほしいと思っています」