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大阪桐蔭はなぜ強く、プロ野球選手が生まれるのか。OBで元阪神・岩田稔が明かす「指導法、練習環境、食事法...」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Nikkan sports

 岩田は1年秋の大会で、3番手投手としてベンチ入りを果たした。走って体を鍛えることに加え、投げて結果を出すことが求められるようになった。

 毎日どれだけ投げるかは選手各自に任され、コーチが指示を出してくることはない。だが、腕組みした西谷監督にジッと視線を向けられると、プレッシャーを感じてなかなかやめることができなかった。

走り込みで覚えた"サボり"

 以上は今から約20年前の話だ。以降、投手の上達法はさまざまにアップデートされている。岩田自身、関西大学入学後に飛躍したのは新しい取り組みを始めたからだった。

「ウエイトトレーニングをやり出したんですよ。高校時代に走ってきた土台をさらに強化するには、なんだろうと考えて。高校時代もウエイトトレーニングはありましたけど、冬場しかやらなかったので。高校野球が終わった時にトレーニングに行かせてもらって、ウエイトをやるようになってから体重が増えて、球速が速くなって。そこで初めてウエイトの大事さを学び、走るだけがすべてではないと感じるようになりました」

 ピッチングで大切な要素のひとつに瞬発力がある。投手には瞬間的な出力が求められるなか、果たして走り込みという伝統的なメニューに意味はあるのか。賛否両論渦巻くなか、37歳まで現役を続けた岩田は自身の経験からこう語る。

「僕は走り込みによって"サボる"ことを覚えました。全部が全力でやったら、絶対ケガします。本気で走るところはベストタイムを出しにいくけど、抜いていいところもある。それはピッチングにも通じていると思います。全部を全力でいったら持たないので、力を抜くためにも緩めの球種を投げたりするわけじゃないですか。それと一緒やなと思いながらランメニューをやっていました」

 大事なのは、何のために走るのかだ。岩田が続ける。

「僕は必要だと思いますね。やっぱり走れなくなったら、動けなくなるので。走れている時のほうが、投球の再現性はすごく高くなると思います」

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