2018.10.23

「名門の灯を消すわけにはいかない」
PL出身独立リーガーの尽きない想い

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 秋も深まり、いよいよドラフトのシーズンがやってきた。ドラフトといえば、ひと昔前までは「PL学園」の名を見ないことはなかった。

 しかし、高校球界の栄枯盛衰はめまぐるしい。かつて大阪の高校球界を席巻したPLは、2年前の夏の大会をもって、その栄光の歴史にピリオドを打った。その大阪では、大阪桐蔭と履正社の2強時代に入り、プロ野球界でも大阪桐蔭出身者が”最大勢力”になりつつある。

 日米通算2705安打の松井稼頭央(西武)が引退を決めた今、PL出身のプロ野球選手は、NPBの福留孝介(阪神)、今江敏晃(楽天)、小窪哲也(広島)、緒方凌介(阪神)、吉川大幾(巨人)、MLBの前田健太(ドジャース)の6人となった。

 もはや絶滅寸前となりつつあるPL出身者。今年のドラフトでは東洋大の主将・中川圭太が「PL最後のドラフト候補」として指名されるかどうかに注目が集まっているが、じつはもうひとりPL出身のドラフト候補がいることをご存知だろうか。

 その選手とは、四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズでプレーする岡本仁(ひとし)である。

PL時代は4番を任されていた岡本仁 来年25歳になる岡本がPLの門を叩いたのは、2009年春のことだった。この年、PLは春夏連続して甲子園に出場。1年の岡本はスタンドで応援しながら、「いずれは自分もこの舞台に立てる」と信じて疑わなかった。しかし現実は厳しかった。

 翌年、2年生となった岡本はベンチ入りを果たすが、その夏、PLの前に立ちはだかったのが履正社だった。この年のPLは、前チームから主力としてプレーしていた吉川、勧野甲輝(元楽天)を擁し、優勝候補に挙げられていたが、4回戦で履正社に7対8で敗れてしまう。

ちなみに、履正社の「3番・ショート」として活躍していたのが山田哲人(ヤクルト)であり、岡本と同じ捕手のポジションには坂本誠志郎(阪神)が座っていた。

 3年になると4番打者としてチームを引っ張った岡本だったが、最後の夏は準々決勝で東海大仰星に10対14で敗れ、結局、一度も甲子園の土を踏むことなく高校生活を終えた。