ドラフト会議の日に思い出したい、大学日本代表「雑草組」の男たち (4ページ目)
「エリートに対しての反発心はありましたか?」と聞くと、笠原は「どうでしたかね……」と考え込んだあと、「自分のピッチングができればいいかなと思っていました」と控え目に答えた。登板後にはボールや色紙を手にした大学野球ファンからサインをねだられ、初々しくサインペンを走らせる姿もあった。
笠原に合宿中に話してみたい選手を聞いてみると、神奈川大の濱口遥大(はるひろ・4年・三養基高)の名前を挙げた。
「同じ左ピッチャーで、150キロを投げるので。どんな考え方をするピッチャーなのか、話してみたいです」
濱口のウイニングショットは落差が大きなチェンジアップ。その投げ方を聞いてみたらどうかと提案すると、笠原の表情がやわらぎ「そうですね。今日の自分のチェンジアップはまったくダメだったので、教わってみたいです」と答えた。皮肉なことに、そう言っていた笠原は後日選考から漏れ、過去にも代表経験のある濱口は再び代表入りを決めた。それでも、すでに「ドラフト上位級」と言われている笠原の評価は揺るがないだろう。
「いいバッターということは知っていたので、力が入りました」
登板後にもかかわらずギラつかせた目を真っすぐこちらに向けて、桜美林大の佐々木千隼(4年・日野高)はそう言った。
佐々木が17日の選考合宿で対戦した打者のなかに、ともに遊撃手で今秋のドラフト上位候補に挙がる日本大・京田陽太(4年・青森山田高)と中京学院大・吉川尚輝(4年・中京高)がいた。特に大学選手権で中京学院大を初出場初優勝に導いた吉川については、期する思いが強かったようだ。
「吉川くんは意識しました。テレビで見ていたので、いいバッターだなと」
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