ドラフト会議の日に思い出したい、大学日本代表「雑草組」の男たち
「やっぱり、六大学って人気なんだなぁ......」
10年近く前の大学日本代表選考合宿でのこと。出番に備えてベンチ前でキャッチボールをしていた地方大学リーグ所属の選手が、ポツリとこう漏らした。
春のリーグ戦で8本塁打を放った白鴎大の大山悠輔
当時、世は「佑ちゃんフィーバー」の真っただ中。早稲田大の斎藤佑樹(現・日本ハム)が動けばカメラマンも大挙して動き、スタンドの観衆まで斎藤の行方を追った。その人気は斎藤の周辺にもおよび、早稲田大の同僚や東京六大学リーグの有名選手も黄色い歓声を浴びていた。その地方大学リーグの選手にとっては、同じ大学生として同じ場所でプレーしながらも、別世界の出来事のように感じられたことだろう。
大学野球界では、東京六大学リーグと東都大学リーグの2連盟に全国から有望な選手が集まってくることが知られている。学生野球の聖地・神宮球場で試合を行ない、これまでの大学野球を支えてきた歴史と伝統がある。当然レベルも高く、なかには高校時代に本人が首を縦に振りさえすればドラフト会議で指名されたであろう選手も入ってくる。
大学日本代表の選考合宿でも、東京六大学リーグと東都大学リーグの選手が多く選出されるケースが目立つ。選考合宿の練習が始まる直前、ダッグアウトで東京六大学リーグや東都大学リーグの選手たちが談笑しているのと対照的に、初めて代表候補に呼ばれた無名大学の選手たちが所在なげにたたずんでいる......というシーンを毎年目にする。
1 / 6