2016.06.20

清宮に立ちはだかるドクターK、聖徳学園・長谷川宙輝が西東京を熱くする

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 かつて、東京に「関東高校」という名前の高校があった。甲子園に出場したことはなかったが、東京都内では上位をうかがう強豪校だった。OBにプロ野球で本塁打王2回、打点王1回を獲得し、通算364本塁打を放った江藤智(現・巨人コーチ)がいる。

「私は江藤と入れ違いで卒業したんですけど、私らの頃は『甲子園に行け、甲子園に行け!』という学校でした。それが聖徳学園(しょうとくがくえん)になって、ガラリと方針が変わりました。中高一貫教育で六大学を目指すような、進学面に力を入れる方向にシフトしたんです」

昨年秋のブロック予選で1試合20奪三振の快投を演じた聖徳学園の長谷川宙輝

 そう語るのは、関東高校OBで現校名・聖徳学園で野球部監督を務める中里英亮監督だ。かつて関東高校にはリトルシニア、ボーイズなど硬式チームから選手が集まってきたが、聖徳学園になると入部希望者が激減した。大会に出れば20点を超えるような大量失点での初戦敗退が当たり前。部員が9人揃わず、大会へのエントリー自体ができない年もあった。

 そんな「どん底」を味わった聖徳学園が今夏、にわかに注目を集めている。

「長谷川を見るために、熱心に足を運んでくださるスカウトの方もいます。強豪校からの練習試合のお誘いも増えて、チームとしての実力もだんだんついてきました」(中里監督)

 今夏の聖徳学園のエース・長谷川宙輝(はせがわ・ひろき/3年)は、今年の西東京ナンバーワン左腕と目されている。身長173センチ、体重74キロと体のサイズは目立たないものの、ストレートは最速144キロ。しかも、ホームベース付近で伸びてくるような球質で、縦に鋭く落ちるスライダーとのコンビネーションによって奪三振を量産するのが特徴だ。昨秋の公式戦で1試合20奪三振をマークしたこともある。この投球スタイルはまるで松井裕樹(楽天)を彷彿とさせる。