センターコンバートが生んだ瞬発力。清宮幸太郎の進化は止まらない (2ページ目)
意外と違和感がなく、すんなりと溶け込めているように見えた。ノックではバックサード、バックホームでそれぞれノーバウンド返球を見せ、場内からどよめきが起きた。決して全力ではなく、肩をいたわった慎重な腕の振り。それでもリリースでエネルギーを集約させるようなスローイングで、腕の振り以上に力強さのあるボールだった。
試合に入ると、左翼手の渡部貴大(3年)と右翼手の西田燎太(2年)と、ポジショニングについて身ぶりを交えて頻繁にコミュニケーションを取る姿が目についた。外野手としては当然のことではあるが、経験の浅い選手が率先して守備のシフトを考えることはなかなかできないことだ。試合後、清宮はこう明かしている。
「ポジショニングは練習試合で詰めてやってきたことなので、レフトとライトと会話しながらやっていました」
4回表、一死一、二塁の場面で、清宮に打球が飛んできた。センター前に落ちるか落ちないか、判断が難しいライナー。清宮はノーバウンドで捕ろうと前進するが、結果的にショートバウンドになり、その打球を弾いてしまう。これを見て二塁走者は三塁を回り、本塁へ向かう。すると清宮は、あわてた様子も見せずに、素手でボールをひょいと拾い、本塁へ力みなく送球。ボールは真っすぐ捕手・小掛雄太に向かって伸び、最後はショートバウンドになったものの、小掛がうまく捕球して走者をタッチアウト。清宮に補殺が記録された。
その後も中堅後方の打球に対して、おぼつかない足取りで背走して、頭を越されるシーンも見られた。清宮は「距離感が普段練習している南大沢のグラウンドと違って、いい守備ができなかった」と反省の弁を口にした。
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