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センターコンバートが生んだ瞬発力。清宮幸太郎の進化は止まらない (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi takahiro
  • photo by Shota Ohuchi

 だが、外野手歴の浅さを考慮しなくても、「センター・清宮」は決して無謀とは思えなかった。トレーニングによって昨秋よりも2キロ増量しながら、身のこなしは鈍重ではなく、さらにスローイングの正確性が際立っていた。

 ただ、はっきり言って、現時点では“センターらしさ”はない。プロ野球で中堅手を務める選手のような躍動感やスピード感はない。それでもソツなくこなしている点に価値を感じる。もし、清宮がプロに進んで中堅手を守ることはないとしても、比較的守備範囲の狭い左翼手なら十分に守れるイメージが湧いてきた。

 打っては、3打席目に右翼へ高校通算36号となる特大アーチを放った。昨年までは軸足の膝が早めに折れて当てにいくような打撃も目立った清宮だが、この日は変化球に対しても重厚な下半身でボールを呼び込み、本塁打につなげた。清宮も「スウェーしなくなってきたかなと思います」と手応えを語っている。

 また、冬場の筋力トレーニングの成果もあったのだろう。「全体的にボリュームアップしてきているので、軽く振っても飛んでいく感覚があります」という。

 さらにこの日、目についたのは清宮の「反応の良さ」だ。公称184センチ、97キロの巨体ながら、50メートル走のタイムは6秒5と悪くない清宮だが、昨年のプレーぶりからは「スピード感」は感じられなかった。

 ところが、この日の清宮は走塁面で今までにない瞬発力を発揮した。二遊間への打球が二塁ベースに当たったのを見て、一塁走者だった清宮は瞬時にギアを入れ替え三塁まで到達。

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